ふるさと納税の返礼品が一時所得として取り扱われ、課税対象になるって本当?
ふるさと納税の返礼品とは
ふるさと納税とは、自分が居住している自治体とは別の自分が選んだ自治体に対して寄付する制度であり、寄付金額の上限内であれば所得税や住民税の控除を受けることができるものです。
寄付金の使途を選ぶことができ、寄付によってその自治体に貢献できているという実感を感じることができるのも、ふるさと納税の醍醐味です。また、寄附をおこなうと寄付した自治体から返礼品を受けることができ、返礼品を目的にふるさと納税をおこなうという方も多いです。
ふるさと納税の返礼品には、肉、米パン、果物、魚介類、野菜、卵、お酒、飲料、菓子、加工品、麺類、調味料、旅行券、アウトドア、雑貨、日用品、美容、ファッション、家具、工芸品等大変幅広く、欲しいものが見つからないということはないのではないかというくらい充実しています。
自分が欲しいものがすぐに見つからない場合には、各種ふるさと納税サイトのランキングを参考にしたり、よりお得なものを選びたい場合には還元率の高いものを狙うなどして、よりお得で満足度の高い返礼品を探してみましょう。
課税対象になる!ふるさと納税における「一時所得」とは
続いて、ふるさと納税における一時所得に注目してみましょう。ふるさと納税をおこなう中で一時所得という言葉はあまり聞きなれないかもしれません。
まずは一時所得とは何かということですが、一時所得は臨時的、偶発的な所得であり労働や営利を目的とする行為等によって得られた所得とは別のものを示します。
また一時所得とは、現在の法令によると次のように定義づけられています。
「一時所得とは、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得及び譲渡所得以外の所得のうち、営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外の一時の所得で労務その他の役務又は資産の譲渡の対価としての性質を有しないものをいう。所得税法 第三十四条(一時所得)」
一時所得の具体例
・懸賞、クイズの賞金や商品券
・懸賞、クイズで当たった商品
・競馬、競輪などの払戻金
・ふるさと納税の返礼品
・生命保険の一時金
・損害保険の満期返礼金
・遺失物を拾った者が受け取る報労金
といったものが挙げられます。
一時所得は、お金だけではなく、ふるさと納税の返礼品のような商品も対象になるということがお分かりいただけたと思います。ふるさと納税の返礼品に係る経済的利益は一時所得となり、一時所得の合計金額が50万円の特別控除を超えた場合には課税対象となります。具体的な話は、次項でお伝えしていきます。
課税対象になる!ふるさと納税における「一時所得」の税計算方法とは
一年間で一時所得の合計金額が50万円を超えた時、税金が発生します。ふるさと納税の返礼品だけで、50万円を超えるというケースはなかなかないかもしれませんが、一時所得はふるさと納税の返礼品だけでなく、生命保険の一時金や損害保険の満期返礼品も含まれるため、合算漏れのないように注意しましょう。
逆に言うと、1年間で50万円以内であれば税金はかからないということです。
一時所得と課税対象額の計算方法
それでは、次に一時所得の計算方法を見ていきましょう。
「一時所得の対象となる収入金額」ー「収入を得るためにかかった経費」ー「特別控除(年間最大50万円)」
上記の式で求めることができます。
そして、一時所得の1/2相当額が課税対象となる金額(総所得金額に含める金額)となります。なお、ふるさと納税返礼品の一時所得の対象となる収入金額の算出方法については次の項目内でお伝えします。総所得金額には、一時所得以外にも事業所得や給与所得などその他の所得も含まれるために、確定申告の際にはその他の所得と合算して納税額が算出されます。
一時所得の具体的な計算方法
次に、具体例に基づき一時所得の計算方法をご紹介していきます。
1,ふるさと納税の返礼品が10万円の場合
この場合には、特別控除50万円以内に一時所得10万円が収まっているため、課税対象はゼロとなり税金はかかりません。
ふるさと納税返礼品10万円ー経費0円ー特別控除50万円=-40万円 すなわち0円
2,ふるさと納税返礼品が60万円の場合
ふるさと納税返礼品60万円-経費0円ー特別控除50万円=10万円
10万円×1/2=5万円
この場合には、5万円が課税対象となります。ふるさと納税の返礼品の還元率は、2019年に寄付金額に対して上限30%と改正したことから、これだけの金額の返礼品を受け取るというのは、かなりの金額を寄付しているということがわかります。ふるさと納税だけで、特別控除50万円を超えるというのはなかなかないパターンです。
3,ふるさと納税の返礼品が30万円、生命保険の一時金が40万円の場合
(ふるさと納税返礼品30万円+生命保険一時金40万円)ー経費0円ー特別控除50万円=20万円
20万円×1/2=10万円
このように、ふるさと納税が10万円と特別控除から大きく離れていても、その他の一時所得が高額である場合には、特別控除を超える場合があります。あくまでも一時金は、ふるさと納税返礼品だけが対象ではないということを意識しておく必要があるといえます。
ふるさと納税における返礼品価格について
ふるさと納税返礼品の場合、一時所得の対象となる収入金額は、返礼品の原価で計算することとなります。返礼品の原価の計算方法についていくつかご紹介していきましょう。
1 ふるさと納税サイトを確認
サイトや返礼品の種類によっては、返礼品の価格がのっている場合があります。まずは自分が利用したサイトを見てみて、記載されているかどうかを確認してみましょう。
なお、同様の返礼品であってもサイトごとに寄付金額や返礼品の内容量が異なるという場合もありますので、確認する場合には必ず自分が寄付をおこなったサイトを利用するようにしましょう。
2 寄付金額の3割として計算する
正確な数値とはなりませんが、ふるさと納税返礼品は寄付金額の3割以内にとどめるという決まりがあることから、一時所得を概算するにはこちらの数式にあてはめて計算します。簡単におおよその金額を把握することが可能ですが、あくまでも概算金額であるため正確な金額を出すことはできません。
3,自治体に問い合わせる
自治体に直接と言わせて相談して金額を教えてもらうという方法です。明確な金額を知ることができるという一方で、1件1件のふるさと納税ごとに確認の必要があるため、手間がかかります。先にお伝えした2つの方法ではきちんとした金額を把握できないという場合に、この方法を使うというのも良いでしょう。ちなみに返礼品の価格は時価で計算され、受け取ったタイミングでの価格が一時所得の金額となります。したがって、正確な金額を把握するには寄付した時期もかかわってきます。
まとめ
以上、ふるさと納税の返礼品が一時所得に当たり課税対象になる場合があるということをお伝えしてきましたがいかがだったでしょうか?これまで当たり前にふるさと納税をおこなってきたものの、一時所得になるという認識がなかったという方も多いのではないでしょうか?
お伝えしたように、一時所得が特別控除50万円を超えた場合に課税対象となるものであるため、かなり高額の寄付を行っていたり、その他の一時所得がない場合には該当とならないため、認識がなかったという方も多いと思います。今回お伝えしたことを参考にして、正しい理解のもとでふるさと納税をおこなっていきましょう。